■ 熱線を替えた日のこと
電気窯の熱線を取り替える──ただそれだけの作業のはずが、思いがけず人の温かさに触れる一日になった。
テスターの使い方がどうにも分からず、七瀬窯の牧さんに助けを求めた。電話越しに丁寧に教えてくれる声を聞きながら、なんとか測ろうとするものの、どうにも数値が動かない。そこへ心配した松本さんまで顔を出してくれて、二人がかりでテスターを覗き込む。
しばらくして、松本さんが「あれ、これ先のカバー外してないよ」と指摘した瞬間、場の空気が一気にゆるんだ。三人で大笑いしたけれど、私は恥ずかしさで穴があったら入りたい気分だった。それでも、笑いながら教えてくれる人がそばにいるというのは、なんともありがたい。
テスターで測ると、下段の抵抗は12、上の二段は22。古い熱線を外し、新しいものに替え、ジョイントも交換した。再度テスターではり替えた上段の通電を測り直すと11になっていた。単位はハッキリ分からないのですが。数字が示す通り、うまく通電している。自分の手で窯が息を吹き返す瞬間は、何度経験しても胸が熱くなる。
まだもう一つ古い熱線が残っている。次はそれを替える番だ。段取りを考えながら、今日の出来事を思い返す。失敗も恥ずかしさも、誰かと笑い合えれば、ちょっとした思い出に変わる。

